エフェクト
現在のバンド活動においてエフェクターの存在は絶対的に必要なものとなってきている。
エフェクターの使用によって音のコントロールを行い、演奏をより効果的に行うことができる。
まず、エフェクターはその名のとおり音になんらかの効果をつける機材である。
ギターとアンプだけでは出せないさまざまな種類の音色にすることができる。
まず、エフェクトの種類についてあげてみる。
歪み系:オーバードライブ、ディストーション等、音に歪みを加えるエフェクト
イコライザー:ギター音の周波数をいじり、音のキャラクターを変えるもの。ワウもこの類
モジュレーション系:変調器です。コーラス、フランジャー、トレモロ等
残響(空間)系
等
ここで、各エフェクトの効果について説明する。
歪み系
そもそも増幅器(アンプ)というものは"歪み"を嫌うものであり、設計者はいかにひずみを
無くし、原音を忠実に再現するかにこだわってきた。
オーディオなどが最もそれが顕著に表れている物だと思う。
![](efectimg/amp2.jpg)
増幅器はトランジスタラジオの時代、ただ単に微弱な入力信号を人間の耳で
聴こえるレベルの大きさまで増幅することから始まり、(実際はもっと前ですが身近になったのはこの頃)
上の図の銀色のアンプの時代(今から20年位前)には、入力信号から生の演奏の音を
再現してスピーカから出せるように、つまりCDではカットされて増幅しただけでは
再現できない、"楽器の息使い"、本当の生の原音を忠実に再現しようといったように
いかに原音を再現するかに要点を置いて設計するわけです。
入力信号は正弦波(図1)です。そもそも歪むというのはこのsin波のピークが入力幅よりも大きいため
カットされてしまい図2のようになる状態のことを言います。
![](efectimg/sin1.gif) | → | ![](efectimg/sin2.gif) |
図1 正弦波 | | 図2 歪み |
本来嫌われるはずの"歪み"。
昔はどの増幅器も"真空管"を使っていました。しかし真空管は歪みを含んでしまい、ノイズにも
弱いという性質がありました。電子機器の発達によりオーディオの世界ではトランジスタが使用されるようになりました。
トランジスタは増幅が原音に忠実でありまた、真空管に比べて寿命が膨大に長く、維持費も安い。
なぜ、トランジスタのほうが真空管よりもいいところ尽くめなのにギターアンプには真空管を
いまだに使っているのか?
真空管の増幅のキャラクターにその答えはあります。
歪んだ波形の立ち上がりの部分をアップで見てみましょう。
図2の波形の立ち上がりのアップを図3に、ギターアンプに使用されている真空管の増幅された波形の立ち上がりを図4に示します。
![](efectimg/sin-top.gif) | | ![](efectimg/sin-top2.gif) |
図3 | | 図4 |
違いがわかりますか!?ちょっとこの図は両方とも極端ですがこんな感じです。
ギターアンプに使用されている真空管特有の歪み方。
図4のように波形が歪むとギターアンプから"あの音"が出るわけなんです。
ちなみに図2、図3のように歪んだ場合の良い例(悪いんですよ)は、
ポータブルCDプレイヤーとミキサーや家のコンポをつないで、
ポータブルCDプレイヤーの音量をめっちゃ上げてミキサーやコンポから音を出したときですかね!?
ん!?分かりにくいって?
で、本題。
歪み系のエフェクトとは、、、
で、その真空管などのキャラクターによって歪んだ音の感じが違うわけですよ。
その歪みをエフェクターで再現したものが「オーバードライブ」や「ディストーション」、「ファズ」
なわけですね。
基本的な常識として(最近はこういった明確な分別は無いが..)
オーバードライブ:大型のスタックアンプをドライブさせたようなナチュラルな(優しい感じ?)歪み、
ディストーション:真空管(プリ管)を何個も通し、強力にドライブさせオーバードライブよりももっと歪ませた音、
ファズ:感じとしては図2の波形の時の音、って感じ。実際の波形はまた図2とは違うけど。歪み過ぎて音がつぶれる、
って感じです。
まぁ基本ですね。
![](efectimg/gain.gif)
図 歪ませた波形
多くのギターのトーンのキャラクターのベースはこの"歪み方"によって作られるのではないかと思います。
イコライザー
これもオーディオの世界ではよく聞く言葉ですね。
イコライザーには、パラメトリックイコライザー(パライコ)とグラフィックイコライザー(グライコ)があります。
![](efectimg/preq.jpg) | | ![](efectimg/graeq.jpg) |
パライコ | | グライコ |
パライコはある範囲の周波数のブースト/カットができます。写真の場合は4つ周波数をいじるポイントがあるわけですね。
周波数を無理なく自然なカーブにいじれます。大胆なブースト/カットができます。
よくギターアンプについてるのを見かけますね。
で、グライコはあるポイントを中心とし、その近辺の周波数をいじれます。
音質補正が目的であり、音質作りには向いてないと私は考えます。
![](efectimg/eq1.gif) | | ![](efectimg/eqh.gif) |
図5 原波形 | | 図6 高域強調 |
ギターなどの音は図5のように低域にあたる緩やかな周期と高域にあたるギザギザ細かい周期と、その中間が中域と、のようになっています。
で、例えば高域をイコライザで強調すると緩やかな周期は変わらず、細かい周期の部分の音量が大きくなります。(図6)
WAH 、アンプシミューレション 等もイコライザーの種類のひとつだと考えます。
イコライザの処理内容は設定したポイントごとの周波数をどれだけ通過させ、そこをどのような音量を変化させるか!?です。
あ、これも厳密には言い方が間違えてますが、でもこんな感じです。
つまりフィルタですね。
で、WAHはその通過させる周波数の帯域ポイントを移動させることにより"WAH WAH"って
音を出します。
またアンプシミュレーションはアンプのキャビネットが持っている周波数の特徴を
シミュレーションしたイコライザと考えることが出来ると思います。
モデュレーション
モデュレーション、つまりそのまま"変調器"ですね。
音の信号波形を変えちゃうってことです。
ある周期で位相をずらしてしまうものがフェイザーですね。
![](efectimg/phase.gif)
図7 フェイザーの波形
図7では青の波形が原音、赤の波形がエフェクト音です。
音の波形はsin波で、同時刻に逆位相の同じ振幅(音量)の波形と重なると音が出なくなります。
で、実際は同周期で重ねてません、微妙に、もしくはおもいっきり違う周期の位相変調した波形を
重ねます。すると、あのウネウネしたポコポコしたサウンドが得られます。
モデュデーションと呼ばれるものに以下のようなものがあります。
・コーラス
・フェイザー
・オクターバー
・トレモロ
・ピッチシフター
もう上げたらキリがありません。
フランジャー、ロボットボイス、ヒューモナイザー、インテリジェントピッチシフター、いろいろありますが
基本原理は上にあげた3〜5個のエフェクトの原理の応用です。
まず、コーラスですが、
原音より数セントずらした音程を原音に加えることによって揺れを表現します。
![](efectimg/cho.gif)
図8 コーラス
さらにこの効果を強くし、えぐさを強調したものがフランジャーです。
エフェクトからの出力をLRに振るとより空間的な効果が得られます。
最近のコーラスは3D空間がどーのこーの部屋の、ホールの反響がどーのこーの、というところまで
話が行ってますがそこまでは私はわかりませんm(_ _)m
オクターバーも原理は簡単、言うは易し、行うは難し。
原音の1オクターブ下の音を加えればいいわけです。
つまり、原音の信号の周期を1/2にした波形を原音に加えるわけです。
オクターバはピッチがずれてしまっていることが良くありますね!?
原音の波形から正しいピッチをリアルタイムで抽出することが難しいみたいです。
で、ピッチシフタ。
これは、今出ている音に例えば、5度下、オクターブ下、4度上、など特定の音を加える
エフェクターです。
例えば、"3度上"と設定し、"ドレミ"と弾くと、原音"ドレミ"と"ミファ#ソ#"の音が出てくるわけです。
で、これでは気持ち悪くてキーがある曲では使えません、ここでインテリジェントピッチシフター。
キーを"Cmaj"、付加音を"3度上"と設定して"ドレミ"と弾くと、原音"ドレミ"と"ミファソ"が出てくるわけです。
原理はオクターバと一緒で原音に対してリアルタイムでその波形の何分の1、もしくは何倍の速さの波形を
加えることにより音程の違う音を出すわけです。
で、インテリジェントピッチシフターはさらに設定したキーによって、特定音に対する加える波形の周波数の
何分の1、何倍の比率が変わるわけです。文章分かりにくい?
残響系
では、説明が簡単なのでデジタルディレイで。
さまざまな原理で開発されていますが理系の学生には分かりやすいですかね!?
エフェクターに入力された音の信号を「記憶してしまうんです。」
記憶させると言うのはこれがまた誤解を招く表現ですね、記憶とはまたちょっとちがうんです、←じゃ書くな!!
入力された信号をn段、遅延装置に通します。そして入力された信号と入力された信号より
n時刻分遅れた信号を足し合わせることによりやまびこのような残響を作っているわけです。
ここで「n段」の「n」とは遅延装置の数を表しています。
![遅延装置を含んだ回路図](efectimg/delay.gif)
図9 ディレイ回路
ここで図9中の"z-1"ってのは単位遅延回路のシンボルです。
この"z-1素子"が「n」=∞(無限大)に在れば信号を「記憶」しているということですね、いつまでも回路が信号を忘れないわけですから。
1.0、0.5、0.3、0.1ってのが原音に対する音量の倍率。
んー、こんな構造的な、もしくは、信号波形からレポートなんか書くんじゃなかった。
ちゃんと説明するにはHTMLじゃムリ。理論もはじめから書かないと伝わらん!
でも、許して。
コンパクトエフェクターのデジタルディレイなどは演算部が一生懸命計算をして、どのような
感じで音量を減衰させていき、原音の時刻に対してどの程度次の音の時刻を遅らせるかを計算してるわけです。
原理はディレイもリバーブも同じようなものです、まぁ違いますが。でも根底は同様でしょう。
時刻に幅があればディレイ、時刻に幅がなければリバーブ。
いや、ほんとはこんなこと言っちゃいけないんですよ、だって間違え寄りだから。
実際はもっと緻密な回路の違いがありますが、ぶっちゃけ基本と言うか構造のイメージをつかみたいので
今回はこの程度で。
回路はICチップによって作られていて心臓部であるICチップが計算をしています。
まぁ、今のデジタルディレイは完全にコンピュータです。図6以上の処理をしてますしね。
さて、チョー端折ってはありますが、ある程度書いたつもりです。
図も完全に正しいこと書いてるわけではないので分かりにくいかもしれません。
どんな原理でエフェクターが音を変えているのかのイメージをレポってみました。(赤受理)
質問、間違えてるぞ!等ありましたらメールかBBSへお願いします。
<<Back